車のドアを開けた瞬間から、体をぐっと反らせて座面に背中がつかない。片手でベルトを引っぱりながら、もう片方の手で暴れる足を押さえて、汗だくで5分。やっと留められたと思ったら、走り出した途端にギャン泣きが始まる。信号待ちのたびにミラーで顔を見て、着くまでずっと泣き声を聞いている。
私自身も、上の娘が1歳半を過ぎたころに同じ状況でした。買い物に行くだけで疲れ切ってしまって、車で出かけること自体がおっくうになっていた時期があります。
この記事でわかること
- のけぞって嫌がるようになる時期の目安
- 「乗りたくない」の裏側にある3つの理由
- 力ずくにならずに乗せるための手順
- 走り出してから泣くときの落ち着かせ方
- 夏場に見落としやすい原因と確認どころ
のけぞる時期は必ず終わります
チャイルドシート拒否は、多くの家庭で生後8か月ごろから2歳台にかけて出てきて、しばらくすると自然におさまります。今まさに毎回泣かれていても、この状態がずっと続くわけではありません。
体をひねったり自分で座り直したりできるようになる時期と、自分の意思がはっきりしてくる時期が重なるのが理由です。座るのが下手になったのではなく、「動きたい」「自分で決めたい」が育った証拠でもあります。
とはいえ、車に乗せないという選択はできません。6歳未満のチャイルドシート使用は道路交通法で決められていますし、抱っこで乗せるのは事故のときにいちばん危険です。だからこそ、「乗せるか乗せないか」ではなく「乗せる前の3分をどう変えるか」に力を注いだほうが、結果的に早く落ち着きます。
のけぞって嫌がる3つの理由
理由が分かると、対策の見当をつけやすくなります。よくあるのは次の3つです。
1つ目は、体が窮屈で座り心地が悪いこと。肩ベルトの高さが合っていない、ベルトがねじれている、シート自体の角度が起きすぎている。ほんの少しのズレでも、小さな体には食い込みとして伝わります。
2つ目は、視界が退屈なこと。後ろ向きで乗っている赤ちゃんは、目の前がシートの背もたれだけになりがちです。窓の外が見えない位置だと、乗った瞬間から不安になります。
3つ目は、ママの顔が見えない不安があること。家では抱っこで機嫌が直る子ほど、車では「近くにいるのに触れない」状態がこたえます。走り出した途端に泣くのは、この不安が理由のことが多いです。
今日ぱっと確認できること
- 肩ベルトの出口が肩の高さと合っているか
- ベルトがねじれたまま留まっていないか
- 厚手の上着を着せたまま締めていないか
- 新生児用クッションが体格に対して大きすぎないか
- 背もたれの角度が月齢に合っているか
上着を着せたまま締めると、見た目はぴったりでも中に隙間ができます。安全の面でも快適さの面でも、上着は脱がせて膝にかけるほうが確実です。取り付け方や角度の考え方は、チャイルドシートの選び方でも触れています。ベルトの不快感や暑さが原因のときは、保冷シートなどの対策グッズも助けになります。
力ずくにならずに乗せるための手順
のけぞりが始まってから力で押し込もうとすると、お互いに消耗します。乗せ方の手順を少し変えるだけで、ずいぶん楽になります。
STEP1 車に着く前に予告する
玄関を出るときに「車に乗ったら、あの歌をかけようね」と伝えておきます。何度も念を押す必要はありません。突然座らされるより、心の準備がある子のほうが体をこわばらせにくくなります。
STEP2 おしりと足から先に座らせる
背中から押し込もうとすると、反射でさらに反ります。おしりと足を先に座面へ入れて、上半身は最後に添える順番にすると、のけぞる力が入りにくくなります。
STEP3 ベルトを留める役を渡す
2歳前後なら「カチッてするの、どっちがやる?」と聞いてみます。自分で差し込む係になると、抵抗が「作業」に変わることがあります。最後の締め具合だけ大人が確認します。
STEP4 乗ったあとに一言だけ声をかける
「乗りたくなかったね。でも守るために座るんだよ」と短く言葉にします。気持ちを否定せずに理由を添えるほうが、翌日の抵抗が小さくなりやすいです。
全部を毎回やらなくて大丈夫です。今日はSTEP2だけ、という日があっていいと思います。
走り出してから泣くときの落ち着かせ方
車が動き出してからのぐずりは、「気をそらす」より「見えるものを増やす」ほうが効きます。
外の景色が見えると落ち着く子は多いので、取りつける席を左右で入れ替えて、窓から見える眺めが変わるか試してみてください。後部座席用の小さなミラーで運転席が見えるようにするのも、乗った直後の泣き方が変わりやすい定番の工夫です。なお、チャイルドシート本体の角度やリクライニングは安全性に直結するので、説明書で決められた範囲を超えて動かさないでください。手が届く位置にお気に入りのおもちゃを1つだけ置いておくのも効果があります。ただし、硬いおもちゃは急ブレーキで飛ぶと危ないので、布製やシートに固定できるタイプにしておくと安心です。
歌は、毎回同じ1曲に絞ると効果が出やすくなります。「この曲=車の時間」と体が覚えると、曲がかかった時点で泣き止む子もいます。私の場合は、上の娘のときに童謡を1曲だけ決めておいたら、3週間ほどで泣く時間が半分くらいになりました。
泣き声がつらくても、走行中に振り返ったり、後ろに手を伸ばしたりするのは避けたいところです。泣き止ませたいという気持ちが、いちばん危ない瞬間を作ってしまいます。どうしても続くときは、安全な場所に停めてから抱き上げるほうが結果的に早く落ち着きます。
夏に見落としやすい「暑い」という原因
急に嫌がりだしたときは、暑さを疑ってみてください。とくにベルトの金具は、駐車中の車内であっという間に熱くなります。肌に当たった瞬間に泣き出したなら、機嫌ではなく熱さが理由かもしれません。
背中の蒸れも見落としがちです。シートに背中が密着しているので、10分の移動でも汗びっしょりになります。降ろしたときに髪が濡れているようなら、暑さ対策も足してみてください。
乗る前に窓を全開にして30秒空気を入れ替える、金具を手のひらで触って温度を確かめる、駐車中は窓に日よけを立てておく。この3つだけでも、乗せた瞬間の泣き方が変わります。汗のかき方が気になるときは、子どもの熱中症のサインも合わせて見ておくと判断しやすくなります。
嫌がるときに役立つアイテム
原因が暑さや退屈なら、グッズはしっかり効いてくれます。ただし体が窮屈で泣いている場合は、道具を足しても変わりません。使う前にベルトの高さと角度を確かめておくと安心です。
保冷シート(ひんやりシート)
座面と背中の間に敷くタイプです。厚みのあるものを体とベルトの間に挟むとベルトが浮いてしまうので、チャイルドシート対応と書かれた薄手のものを選んでください。汗で背中が張りついて泣く子には向いています。ジェルタイプは冷えすぎることがあるので、0歳のうちはメッシュや接触冷感の生地から試すと安心です。反対に、汗をあまりかかない子の場合や冬場には、効果を感じにくいアイテムでもあります。
車用の日よけ・サンシェード
駐車中の座面とベルト金具の温度を下げてくれます。窓に吸盤で貼るタイプは走行中のまぶしさもやわらげてくれるので、西日で泣いてしまう夕方の帰り道が楽になります。ただし後部座席の窓ガラスがもともと濃い色の車では、効果を感じにくいかもしれません。
シートに付けられるおもちゃ
運転ごっこができるハンドル型や、ベルトに巻きつけるタイプなら、落としても足元に転がらず、拾ってあげる回数が減ります。車専用にして家では出さないでおくと、飽きずに長く使えます。ただし手先が器用になる2歳ごろからは、自分で外して投げてしまう子もいるので注意が必要です。
よくある疑問
嫌がる時期はいつからいつまで?
多いのは生後8か月ごろから2歳台です。寝返りやお座りで自由に動けるようになる時期に始まり、言葉で先の説明が分かるようになる3歳前後で落ち着く子が目立ちます。始まる時期も終わる時期も個人差が大きいので、周りと比べなくて大丈夫です。
泣くから前向きに変えてもいい?
月齢と体格の基準を満たしていないうちは、後ろ向きのままが安全です。後ろ向きは、正面衝突のときの衝撃を背中全体で受け止め、まだ弱い首と頭への負担を減らせる姿勢だからです。切り替えの目安はシートごとに決まっているので、取扱説明書の数字で判断してください。
無理やり押さえつけて乗せてもいい?
安全のために乗せる必要はあるので、最終的には留めることになります。ただ、押さえつける時間を短くする工夫はできます。歌をかける、足から入れる、ベルトを本人に持たせる。この流れにするだけでも、押さえつける時間はかなり短くなります。
短い距離なら抱っこでもいい?
近所のスーパーまででも、抱っこでの同乗は避けてください。時速40kmの衝突でも、大人の腕で子どもを支え続けるのは難しいとされています。5分の距離こそ、いちばん油断が出やすい場面です。
きょうだいがいると乗せる順番はどうする?
下の子を先に留めて、上の子は最後にするほうが落ち着きます。下の子は自分で待つことができず、抱っこしたまま待たせる時間が長いほど泣き出しやすいからです。上の子には「次はあなたの番」と見通しを伝えれば、少しのあいだ待てます。私の場合は、下の娘を先に固定してから、3歳の娘に「カチッはお姉ちゃんの係ね」とバックルを留める役を渡す形に落ち着きました。
まとめ
のけぞって嫌がるのは、体が育って自分の意思が出てきた時期のサインです。永遠には続きません。
今日できるのは、肩ベルトの高さを見ること、金具の温度を手で確かめること、乗せる順番を足からに変えること。この3つだけで、次に乗せるときの5分が変わることがあります。うまくいかない日は「今日は仕方ない」でいいと思います。泣き声を聞きながら運転する時間は、これまでよりずっと短くなっていきます。
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