この記事でわかること
- 赤ちゃんがいる家庭が最初に備える3つ
- 液体ミルクとおむつの3日分の目安
- 大人ひとりで持ち出せる重さの上限
- 家に置く分と玄関に置く分の分け方
- 月齢が変わるたびに入れ替えるもの
最初に備えるのは、水とミルクとおむつの3日分
赤ちゃんがいる家庭がまず用意するのは、3日分の水と液体ミルク、そしておむつです。ほかのものは後からで大丈夫です。
大人は数日食べられなくても持ちこたえられますが、赤ちゃんは体が小さいぶん水分を蓄えておけません。半日ミルクが空くだけで水分が足りなくなりやすく、月齢が低いほど元に戻るのにも時間がかかります。だから、口に入るものから先にそろえます。
| 優先順位 | 備えるもの | 3日分の目安 |
|---|---|---|
| 1番目 | 液体ミルク(普段のミルクでも可) | 1日5〜6回分×3日=15〜18回分 |
| 2番目 | 飲み水 | 大人1人1日3L×3日=9L(上の子の分に1日1Lを足す) |
| 3番目 | おむつ・おしりふき | おむつ30枚(1日10枚×3日)/おしりふき2個 |
| 4番目 | 着替え・タオル・ゴミ袋 | 着替えは上下2組ずつ/タオル2枚/ゴミ袋5枚 |
準備が手つかずになる3つの理由
やる気がないからではありません。赤ちゃんの防災は、仕組みとして続きにくいだけです。理由が分かると、やり方のほうを変えられます。
1つ目は、中身が数か月で古くなることです。おむつのサイズも、ミルクの量も、着られる服も、季節がひとつ変わるあいだに入れ替わります。一度作って終わりにできないので、作る前から気が重くなります。
2つ目は、リストが長すぎることです。「赤ちゃん 防災グッズ」で出てくる一覧はどれも30項目を超えていて、上から順にそろえようとすると1日では終わりません。
3つ目は、重くて持てないと薄々気づいていることです。全部入れたリュックは10kgを超えます。子どもを抱っこして背負える重さではないと分かっているから、作る手が止まります。
私自身も、防災リュックは上の子のときのままでした。おむつはリュックに入れず、ローリングストックで買い溜めしているものを持ち出す予定にしています。
中身の点検は、忘れたころにやろうとすると続きません。おむつのサイズが変わったとき、季節の服を入れ替えたときなど、すでにある家事にくっつけると見直しやすくなります。
ミルクは「お湯がいらない形」で備える
災害のときにミルクでつまずくのは、お湯が作れないことと、哺乳瓶を洗えないことの2つです。
1つ目のお湯は、液体ミルクにすれば必要ありません。停電と断水が同時に起きると粉ミルクは作れなくなるので、お湯のいらない形がいちばん確実です。
液体ミルクは紙パックや缶に入っていて、常温のままそのまま飲ませられます。温める必要はなく、冬でも常温で問題ありません。125mlの小さいパックと240mlの缶があるので、1回に飲む量に近いほうを選ぶと余りが出にくくなります。
開けた液体ミルクは、その場で飲みきる分だけ使います。常温に置いたものを後から飲ませるとおなかを壊すことがあるので、飲み残しは思いきって捨ててください。1回で飲みきれない月齢なら、小さいパックを多めに用意しておくと、そのぶんを最後まで使いきれます。
もう1つの壁が、哺乳瓶を洗えないことです。断水中に洗剤で洗って消毒するのは難しく、洗わずに使い回すとおなかを壊す原因になります。そこで使えるのが、使い捨ての哺乳瓶です。乳首と袋がセットになっていて、使ったらそのまま捨てられる形です。
紙コップから少しずつ飲ませる方法もあります。赤ちゃんの下唇にコップのふちを当てて、自分ですするのを待つやり方で、生後すぐの子でも飲めます。手元に何もないときの逃げ道として、頭の片隅に置いておくと安心です。
完全母乳の場合も、液体ミルクを少しだけ備えておくと気持ちが楽になります。眠れない日が続いたり水分が足りなかったりすると、一時的に出にくくなることがあるからです。
おむつと衛生用品は、洗えない前提でそろえる
断水すると、おしりふきがそのまま体を拭く道具になります。だから枚数は多めに用意して、サイズは大きめのものを選ぶと役に立ちます。
おむつは今のサイズを3日分と、1つ上のサイズを数枚だけ。ちょうど切り替わる時期に避難が重なると、下のサイズしかない状態でおしっこがあふれてしまいます。数枚あれば数日はしのげます。
体を拭くシートは、赤ちゃんのおしりふきより大判のものが便利です。顔・手・おしりのどこにも同じシートが使えて、大人も一緒に使えます。おしりを拭いた1枚は、そのまま捨ててください。子ども2人分と自分の分を別々に用意しなくてよくなるので、荷物が減ります。
衛生まわりで入れておきたいもの
- 防臭袋(使用済みおむつ用に10枚)
- 大きめのゴミ袋(雨よけ・敷物にもなる)
- 手指の消毒ジェル
- ラップ(食器に敷けば洗わずに済む)
ワンオペで持ち出せる重さには限りがある
大人ひとりで子ども2人を連れて逃げるなら、背負えるのは5kg前後までです。ここを見誤ると、いざというときリュックを置いていくことになります。
一番大事な持ち物は抱っこ紐です。赤ちゃんを体に固定できれば両手が空き、上の子の手を引けます。ベビーカーは段差や割れた道では進めなくなるので、避難の手段としては数えないほうが安全です。抱っこ紐の選び方は抱っこ紐選びの基準にまとめています。
そのうえで、荷物を2か所に分けます。玄関には走って出られる軽いリュック、家には数日分の備え。全部を1つに詰めようとするから重くなります。
| 置き場所 | 入れるもの |
|---|---|
| 玄関(持ち出す・5kgまで) | 液体ミルク4回分、おむつ10枚(丸1日分)、おしりふき1個、飲み水500mlを2本、母子健康手帳のコピー、現金 |
| 家(在宅で使う) | 水と液体ミルクの3日分、おむつ1袋、レトルトの離乳食、カセットコンロ、大人の食料 |
上の子が3歳前後なら、自分の小さなリュックにおやつと着替えを入れて背負ってもらう手もあります。歩く意欲が出て、こちらの荷物も少し減ります。持てないほど入れると歩けなくなるので、500gくらいまでにしておくと無理がありません。
家で過ごす備えは、買い置きを少し増やすだけ
家が無事なら、避難所に行かずに家で過ごせるほうが赤ちゃんには楽です。いつもの寝床で寝られますし、泣いても周りに気をつかわずにすみます。そのための準備は、特別なものを買いそろえることではありません。いつも買っているものを、少し多めに置いておくだけです。
買い置きを回していく3ステップ
賞味期限を管理しようとすると続かないので、はじめから普段使いに混ぜてしまいます。夜中のミルクを液体ミルクで済ませる日があってもかまいません。
STEP1 いつもより1つ多く買う
液体ミルク、レトルトの離乳食、おむつ。買い物のたびに1つだけ多めにかごへ入れます。
STEP2 古いものから普段の生活で使う
お出かけの日や、寝かしつけで手が離せない日に、備えのぶんから使います。賞味期限が近いものが自然に減っていきます。
STEP3 使った分だけ次の買い物で足す
減ったら補充する、それだけです。点検日を決めなくても中身が新しく保たれます。
もう1つ、買い物より先にできることがあります。子どもが寝ている場所の安全を確かめることです。寝床の上や枕元に、倒れてくる家具や落ちてくるものがない状態にしておくと、揺れた瞬間の危険がぐっと減ります。
棚の上に重いものを置かない、寝床の近くに背の高い家具がないか見ておく。動かすのが大変なものは、転倒防止の突っ張り棒や粘着マットで固定するだけでも違います。まずは寝ている場所の頭側だけでも、今日のうちに見直せます。
停電した部屋では、ろうそくより電池式のライトのほうが安心です。子どもが倒したり、抱っこしたまま近づいたりすると火が服に移ることがあります。玄関と寝室に1つずつ、小さなライトを置いておくと、暗い中で子どもを抱えたまま探さずに済みます。
まとめ
赤ちゃんの防災は、完璧なリュックを作ることではなく、口に入るものを切らさないことから始まります。液体ミルクとおむつを3日分。まずはここだけで十分です。
持ち出す荷物は5kgまで、残りは家に置く。そう決めてしまうと、詰めながら迷う時間がなくなります。抱っこ紐を玄関に掛けておけば、いざというときも両手が空いたままです。
買い置きを1つ多くするところから始めれば、今日の買い物がそのまま備えになります。何も準備できていないと感じている今日が、始めるのにちょうどいい日です。
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