この記事でわかること
- 哺乳瓶を嫌がる赤ちゃんがどのくらいいるのか
- 哺乳瓶を嫌がるときに起きていること
- 練習をどの順番で試すと負担が少ないか
- それでも飲まないときの代わりの飲ませ方
- 受診を考えたほうがいいサイン
哺乳瓶を嫌がる赤ちゃんは、そんなに珍しくありません
母乳で育っている赤ちゃんが哺乳瓶を嫌がるのは、育児相談でとてもよく出てくる悩みです。そして保育園に入ってしまえば飲めるようになる子が多い、というのも現場でよく言われることです。今まったく飲まないからといって、預けられない未来が決まったわけではありません。
家では飲まないのに園では飲む、という現象はあちこちで報告されています。ママの匂いも声もない場所では、赤ちゃんも「今はこれしかない」と切り替えるからです。
とはいえ、預ける日が決まっている人にとっては不安ですよね。哺乳瓶そのものの相性が原因になっていることもあるので、哺乳瓶の選び方を見直すところから始める手もあります。
哺乳瓶を嫌がるときに起きている3つのこと
嫌がるのには理由があります。よくあるものを3つに絞って見ていきます。
1つ目:吸い方そのものが違う
おっぱいは舌を波打たせて時間をかけて飲むものですが、哺乳瓶は吸えばすぐ出てきます。口の中での動かし方が違うので、母乳に慣れた赤ちゃんほど「思っていたのと違う」と戸惑います。
生後2〜3か月ごろは吸う力も飲み方も日々変わる時期で、ちょうどこのころに嫌がり始める子が多いようです。
2つ目:ママがいると母乳を選ぶ
赤ちゃんはママの匂いをはっきり覚えています。抱っこされた時点でおっぱいを期待しているので、そこに別のものが出てくると怒って泣きます。同じ子が、ママが部屋から出たとたんに飲むことも珍しくありません。
3つ目:温度やにおいが好みから外れている
粉ミルクは70度以上のお湯で溶かし、流水などで冷ましてから飲ませます。飲ませるときの温度は40度前後、人肌が目安です。熱すぎても冷たすぎても嫌がります。
乳首についた消毒液や洗剤のにおいが、嫌がる理由になっていることもあるんです。香料の入っていない洗剤に変える、薬液消毒から煮沸や電子レンジ消毒に切り替える、といった対応で飲むようになった例もあります。
温度の話が出たので、作ったミルクの扱いもここで押さえておきます。粉ミルクを溶かすお湯は当日に用意して、作ったミルクは常温で置いておかないようにします。練習で少ししか飲まなかったぶんも、口をつけたものは1時間を目安に処分してください。雑菌が増えるので、翌日には持ち越せません。前もって準備できるのは、粉やキューブ、未開封の液体ミルクまでです。
練習は「時間・人・道具」の順で変えていきます
いろいろ同時に変えると、何が効いたのかわからなくなります。負担の軽いものから順に、1つずつ変えていくのがおすすめです。
STEP1 おなかがすきすぎる前の、機嫌のいい時間に
空腹がピークのときに初めての道具を出すと、怒って泣くだけで終わります。授乳と授乳の間、目が覚めてごきげんな時間に、哺乳瓶にミルクを10mlだけ入れて、乳首を口元に当てるところから始めます。飲まなくても、乳首をなめて遊べたら、その日はうまくいったと考えて大丈夫です。
STEP2 飲ませる人と場所を変える
誰か頼める人がいる日は、その人にお願いして、自分は別の部屋に移ります。声も匂いも届かないほうが飲みやすくなります。ひとりで見ているなら、いつも授乳している椅子ではなく別の場所に座ってみてください。赤ちゃんも横抱きではなく、少し体を起こした姿勢で抱えます。同じ人でも、状況が変わると受け入れることがあります。
STEP3 乳首と温度を1つずつ変えて、結果をメモする
ここまでで飲まなければ、道具を変えます。乳首のサイズを1段階上げる、同じメーカーの中で形の違う乳首に替える、といった変更を1回につき1点だけ試します。哺乳瓶と乳首は口の大きさや取り付け方がメーカーごとに違うので、組み合わせるのは同じメーカーどうしが基本です。別のメーカーを試したいときは、哺乳瓶ごと替えます(メーカーごとの違いは後の表にまとめています)。日付・使ったもの・温度・飲んだ量の4つをメモしておくと、次に何を変えるか決めやすくなります。
STEP3まで進んだら、またSTEP1の「機嫌のいい時間」に戻って同じ道具で試します。1回で判断せず、同じ組み合わせを2〜3日続けてから次に移ると、相性が見えてきます。
練習は1日1回で十分です。毎回泣かせてしまうと、哺乳瓶を見ただけで嫌がるようになります。うまくいかない日は、その場でおっぱいに切り替えて終わりにしてください。
どうしても飲まないときは、道具のほうを変えます
哺乳瓶にこだわらなくて大丈夫です。目的はミルクを飲ませることであって、哺乳瓶を使うことではありません。
| 月齢の目安 | 代わりに試せるもの |
|---|---|
| 生後2〜4か月 | スプーン、スポイト、小さなコップで少しずつ |
| 生後5〜7か月 | コップ飲み、スパウト、離乳食に混ぜる |
| 生後8か月以降 | ストローマグ、コップ、食事からの水分 |
コップやスプーンで飲ませるときは、赤ちゃんの体を起こして支え、コップの縁を下唇に当てて、自分から飲み込むのを待ちます。
寝かせたまま口に流し込むと気管に入ってむせやすいので、必ず体を起こして少量ずつにしてください。この練習は離乳食の準備にもなるので、コップ飲みの進め方とあわせて進めるとスムーズです。
離乳食が始まっている月齢なら、ミルクを料理に混ぜる方法もあります。パンがゆやポタージュにすれば、飲み物としては拒否する子でも食べてくれることがあります。
保育園に入園予定なら、入園前の面談で「哺乳瓶は拒否します、コップなら少し飲めます」と正直に伝えてください。園は毎年その相談を受けているので、コップやスプーンで対応してくれることがほとんどです。
家庭だけで解決してから入園しなければ、と抱え込まなくて大丈夫です。復帰前の不安がぐるぐるするときは、慣らし保育のはじまり方も読んでみてください。
母乳もミルクも受けつけない状態が半日以上続くときは、練習を止めて小児科に相談してください。おしっこの回数がいつもの半分以下、唇や口の中が乾いている、呼びかけへの反応が鈍いといったサインは脱水のはじまりです。飲まない原因が、鼻づまりや口内炎、耳の痛みといった体調にあることもあります。
乳首は「良いもの」ではなく「この子に合うもの」を探します
哺乳瓶選びでつまずきやすいのは、口コミの評価で選んでしまうところです。人気の乳首が合わない子はふつうにいます。見るのは、飲み口の形と、素材のやわらかさの2点です。
| タイプ | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 丸くて細めの飲み口 | おっぱいに近い含み方で吸える | 母乳と併用したいとき |
| 幅広で薄い飲み口 | 口を大きく開けて吸う形 | 細い乳首を押し返すとき |
| 天然ゴム素材 | やわらかく、においが独特 | シリコーンを嫌がるとき |
ピジョン 母乳実感
日本で最も広く使われている定番で、乳首のサイズと形の展開が多いのが利点です。哺乳瓶本体はそのままに、乳首だけ買い替えて試せます。
まず1本目を選ぶなら、練習の途中で方向転換しやすいこのタイプが無難です。ただし、この形を舌で押し返してしまう子には、次のタイプを試してみてください。
ヌーク(NUK)
飲み口が幅広で平たく、口を大きく開けて吸う形です。細い乳首を舌で押し出してしまう子でも、これなら飲んだ、という声が多いタイプです。天然ゴムの乳首も選べます。ゴム特有のにおいがあるので、それが苦手な子には合わないこともあります。
ストローマグ(生後8か月ごろから)
哺乳瓶をあきらめてこちらに進む選択もあります。パーツが少なく洗いやすいものなら、毎日の消毒も負担になりにくいです。
スパウトから段階的に進められるセットなら、飲み方の変化に合わせて口の部分だけ替えられます。哺乳瓶を通り越してマグで水分をとれるようになれば、預けるときの心配はぐっと減ります。
よくある質問
哺乳瓶拒否はどのくらいで落ち着きますか?
数日で戻る子もいれば、数か月そのままの子もいて、期間はかなり幅があります。日数を目標にすると、うまくいかない日に落ち込んでしまいがちです。「今週はこの乳首を試す」のように、やることのほうを区切ると気持ちが続きます。
練習のために母乳を減らしたほうがいいですか?
おなかをすかせれば飲むはず、という考え方は逆効果になりがちです。空腹がきついほど混乱して泣きます。母乳はいつもどおりにして、練習は機嫌のいい時間に足す形で進めてください。
保育園から断られることはありますか?
哺乳瓶が使えないことだけを理由に入園できなくなるケースは、まずありません。ただし飲めるものがまったくない状態だと、預かる時間を短めに調整されることはあります。コップやスプーンでどのくらい飲めるかを、入園前に園へ伝えておくと相談がスムーズです。
夜だけ飲むのに昼は飲みません。どうしてですか?
眠くてぼんやりしている時間帯は、口に入ってきたものをそのまま受け入れやすくなります。うとうとしているときに試して成功したなら、それも立派な一歩です。ただし、そのまま寝入ってしまうと吐き戻しやすいので、少し縦抱きにしてから寝かせてください。
今日できることは、1つだけで大丈夫です
哺乳瓶を嫌がるのは、赤ちゃんがおっぱいをちゃんと覚えている証拠でもあります。困るのはこちらの事情のほうで、赤ちゃんが失敗しているわけではありません。
上の娘のときは混合で、授乳のたびに母乳のあとにミルクをあげていました。哺乳瓶を嫌がるほどではありませんでしたが、飲みが少し悪くなってきたかなと感じた時期があり、乳首のサイズや空気孔を変えて工夫しました。
下の子は今、生後2か月です。ほとんど母乳ですが、人と会う前や、夫や母にしばらく見てもらうときだけミルクを飲ませていて、そのときに哺乳瓶を使っています。
全部やらなくて大丈夫です。今日は飲ませる人を替えてみる、明日は座る場所を変えてみる。それだけで、試したことが1つずつ積み上がっていきます。
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