この記事でわかること
- 測るたびに数字が変わる3つの理由
- 脇・耳・おでこの得意なことと苦手なこと
- 0歳と1〜3歳で変わる選び方
- 数字がぶれにくくなる測り方のコツ
- 受診を考えたほうがいいサイン
脇で測れる1本を主役に、非接触は補助に回すと迷わなくなる
赤ちゃん用に1本だけ選ぶなら、脇ではさむタイプ(腋窩式)で大丈夫です。数字のぶれがいちばん少なく、小児科で「何度でしたか」と聞かれたときにそのまま答えられるのもこのタイプです。
そのうえで、寝ている子を起こさずに様子を見たい場面のために、おでこの非接触タイプを2本目として足す。この組み合わせにすると「どっちを信じるか」で迷わなくなります。非接触の数字が高めに出たら脇で測り直す、という順番が決まるからです。
助産師さんに「赤ちゃん用にこだわらなくていい、大人と同じもので構わない」と言われた人の話もよく聞きます。大切なのは値段や見た目ではなく、同じ条件で毎回測れるかどうかです。
「正確に測れない」と感じる3つの理由
数字がばらつくのは、体温計が壊れているからではありません。ほとんどは測り方か、測ったときの状況で説明がつきます。よくある3つを順に見ていきます。
1つ目:脇のくぼみに先端が届いていない
脇式は、脇のいちばん深いくぼみに先端を当てて、腕をすき間なく閉じた状態で測る前提で作られています。斜め下から押し上げるように差し込んで、肘を体につける。ここがずれると、体の表面の温度を拾って低めに出ます。
汗をかいたままの脇も同じで、汗が蒸発するときに熱を奪うので、低く出てしまうんです。ガーゼでさっとふいてから測るだけで数字が落ち着きます。
2つ目:非接触は周りの環境に左右されやすい
おでこやこめかみで測る非接触タイプは、皮膚の表面から出ている赤外線を読み取る仕組みです。エアコンの風が当たっていた。外から帰ってきたばかり。前髪が汗で張りついている。こうした条件で数字が変わります。
測る距離も説明書で決まっていて、近すぎても遠すぎても値がずれます。体に触れないぶん、環境の影響をそのまま受けるもの。そう考えておくと数字のぶれに納得できます。
3つ目:耳式はセンサーが鼓膜のほうを向いていない
耳式は鼓膜から出る赤外線を読み取ります。センサーがその方向を向いていないと低く出ます。赤ちゃんの耳の穴は、細くて曲がっているのが特徴です。1歳未満は耳をまっすぐ後ろに、1歳を過ぎたら後ろ斜め上に軽く引いてから入れるのがコツです。
耳あかがたまっているときも数字が下がります。左右で1度近く違ったときは、測りやすいほうの耳に毎回そろえると比べやすくなります。
授乳や食事の直後、お風呂上がり、泣いたあと、厚着で寝ていたあとは、どのタイプでも高めに出ます。15分から30分ほど落ち着いてから測ると、その子の本当の体温に近づきます。
タイプ別の違いと、どれが我が家に合うか
3つのタイプは優劣ではなく、得意な場面が違うだけです。まずは一覧で見比べてみてください。
| タイプ | 測る時間の目安 | 数字の安定しやすさ | 苦手な場面 |
|---|---|---|---|
| 脇式(腋窩式) | 予測で15〜60秒/実測で10分ほど | いちばん安定する | 動き回る子をじっとさせておく |
| 耳式(鼓膜式) | 1〜2秒 | 入れる角度で変わる | 耳の穴が細い低月齢、耳あかが多いとき |
| 非接触(おでこ・こめかみ) | 1〜3秒 | 環境の影響を受けやすい | 汗をかいた直後、エアコンの風の下 |
赤ちゃんの体温計は耳と脇どっち?
迷ったときの答えは「主役は脇、手早く見たいときだけ耳」です。脇式は数字がいちばん安定して、小児科で聞かれる値もこちらが基準になります。耳式は1〜2秒で測り終わる速さが魅力ですが、赤ちゃんの耳の穴は細くて曲がっているので、入れる角度がずれると低めに出ます。
どちらか1本に絞るなら脇式です。2本目に耳式を足すと、朝の検温は耳で手早く、数字が気になった日は脇で測り直す、という流れが作れます。逆に耳式だけにすると、高い数字が出たときに確かめる手段がなくて不安が残ります。
そのうえで、家庭の事情に当てはめると選びやすくなります。
| こんな家庭 | 合いやすいタイプ |
|---|---|
| 1本だけ買って長く使いたい | 脇式(予測と実測を切り替えられるもの) |
| 寝ている子を起こしたくない | 非接触を脇式と併用 |
| 測るたびに全身で嫌がる | 耳式か非接触をふだん使いにして、疑わしいときだけ脇式 |
| 保育園や幼稚園に毎朝の記録を出す | 脇式で毎日同じ条件をつくる |
0歳のうちは、寝ている時間が長くて動きも少ないので脇式が使いやすい時期です。首がすわる前でも、あお向けのまま脇にはさんで腕を軽く押さえていられます。
反対に1歳を過ぎると、体温計を見ただけで逃げる子が増えてくるんです。15秒でも長く感じる時期なので、ここからは抵抗の少ない耳式や非接触をふだん使いにします。数字が気になるときだけ脇で測り直せば、朝の検温が1分で終わります。
選ぶときに見たい4つの基準
商品名より先に、この4つを確認すると失敗が減ります。
買う前に確かめたいこと
- 医療機器として認証された体温計か
- 暗い部屋でも数字が読めるか
- 測り終わりの音を消せるか
- 電池が手に入りやすい種類か
1つ目は、パッケージに「管理医療機器」「体温計」と書かれているかどうかです。見た目がそっくりでも、雑貨として売られている「体表温計」は体温を測る道具ではありません。施設の入り口などで体の表面温度をざっと確かめる道具で、家庭の検温には向きません。
2つ目は表示の見やすさです。夜中に測る場面が多いので、バックライトがあるかどうかで暗い部屋での読みやすさが大きく変わります。
3つ目は音です。測り終わりの電子音で赤ちゃんが起きてしまうことがあるので、消音に切り替えられるものだと寝ている間に測れます。
4つ目は電池です。熱が出た日に電池切れに気づくのがいちばん困ります。脇式の多くはボタン電池なので、型番(LR41、SR41など)を控えて予備を1つ置いておくと安心です。
ただ、ボタン電池は飲み込むと短い時間で食道をいためてしまうことがあります。予備はパッケージから出さずに、子どもの手が届かない引き出しにしまっておいてください。電池を交換したあとの古いほうも、その場で処分するまで机の上に置かないようにすると安心です。
脇式の定番:オムロン けんおんくん MC-682
15秒ほどの予測検温と、時間をかけて測る実測検温を切り替えられるタイプです。ふだんは予測で済ませて、数字が気になる日だけ実測にする、という使い分けができます。先端がやわらかく曲がるので、脇のくぼみに当てやすいのも助かる点です。
耳式の定番:ピジョン 耳チビオン
耳に入れて1秒ほどで数字が出るタイプです。じっとしていられない時期の強い味方で、暴れる前に測り終わります。先端が赤ちゃんの耳に合わせた細さになっているので、大人用の耳式より入れやすく感じました。
耳の向きに慣れるまでは数字がぶれるので、体調のいい日に何度か練習して、その子の平熱を先につかんでおくと使いやすくなります。
非接触の定番:エー・アンド・デイ でこピッと
おでこに近づけるだけで測れるタイプです。夜中に寝ている赤ちゃんを起こさずに、そっと当てられます。ただし出た数字はあくまで目安として見て、高めに出た日は脇で測り直すと安心です。
医療機器として認証されたモデルを選びます。そのうえでエアコンの風が当たらない場所で測ると、数字のぶれが小さくなります。
数字がぶれにくくなる測り方と、受診を考えるサイン
体温計を替えるより先に効くのが、平熱を知っておくことです。元気な日の同じ時間帯に測っておくと、当日の数字が高いのか低いのかを自分で判断できます。
STEP1 元気な日に3日ぶん測る
朝起きたあと、お昼寝の前、夕方の3回。同じ時間帯にそろえるのがポイントです。
STEP2 いちばん低かった数字と高かった数字をメモする
赤ちゃんは1日のなかで体温が動きます。幅で覚えておくと、慌てずに済みます。
STEP3 測る場所と体温計を固定する
脇なら毎回同じ側の脇に。耳なら毎回同じ側の耳に。測る条件をそろえておくと、前と比べたときの上がり下がりが分かります。
数字だけを追いかけないことも大事です。同じ38度でも、機嫌よく遊んで水分が取れている子と、ぐったりして目を合わせない子ではまるで意味が違います。
生後3か月未満の赤ちゃんは、体温が38度以上あれば時間帯を問わず早めに小児科や救急に相談してください。この時期は重い感染症でも熱以外の症状が出にくく、見た目が元気でも急に悪くなることがあるからです。月齢が上がったあとも、見るところは同じです。ぐったりして反応が弱い、水分が半日ほど取れていない、けいれんが起きた、呼吸が苦しそう。こうしたときは体温の数字にかかわらず受診してください。判断に迷う夜間は、#8000(小児救急電話相談)で看護師や小児科医に相談できます。
よくある質問(FAQ)
結局、体温計は耳と脇どっちが正確?
より正確なのは脇式です。脇式(腋窩式)は体の内部に近い脇のくぼみで測るため数字が安定しやすく、小児科でもこの値を基準に聞かれます。
耳式は鼓膜の温度を読み取る仕組みで速いぶん、耳の穴が細い赤ちゃんだと角度がずれて低めに出やすいのが弱点です。ふだんの検温は耳式や非接触で手早く済ませ、数字が気になったときだけ脇式で測り直すと、速さと正確さの両方を活かせます。
赤ちゃん用の体温計は大人用と何が違う?
測る仕組みは同じで、違うのは使い勝手のほうです。赤ちゃん用として売られているものは、先端がやわらかい、耳の穴に合わせて細い、音を消せる、といった工夫がされています。
大人用の脇式でも問題なく測れるので、家にあるものを使いながら不便を感じた点を書き出すと、次の1本が選びやすくなります。
予測式と実測式はどちらを選べばいい?
ふだんの検温は予測式で十分です。予測式は脇の温度の上がり方から、10分ほど測ったときの値を計算で出す仕組みです。だから短い時間で済みます。数字が信じられないときに実測へ切り替えられるモデルだと、1本で両方まかなえます。
非接触の体温計だけでも大丈夫?
登園前の確認など「いつもと変わりないか」を見るぶんにはじゅうぶんです。ただし受診のときに聞かれるのは脇で測った値が基本なので、脇式が家に1本あると安心です。
測るたびに数字が違うのは故障?
同じ条件で続けて測って0.2度から0.3度ほどの差なら、故障ではなく正常な範囲です。1度近く開くときは、当て方か測るタイミングを見直してみてください。見直しても変わらないなら、電池を新しくして再確認します。
耳と脇で体温が違うのはなぜ?
耳式は鼓膜のあたり、つまり体の内側に近い温度を読み取るので、正しく入ったときは脇より少し高めに出ることが多いです。耳と脇で数字が違うこと自体は故障ではありません。
比べるときは脇なら脇どうし、耳なら耳どうしで見て、受診のときは「脇で何度」のように測った場所も一緒に伝えると話が早く進みます。
体温計を嫌がって暴れるときは?
体温計を持つ前に、絵本を1冊広げるか、動画を1本だけ見せて、意識をそちらに向けてから測ると成功しやすくなります。工夫しても難しい日は無理に押さえつけず、耳式や非接触に切り替えて大丈夫です。全部を完璧に測ろうとしなくていいですよ。
まとめ
赤ちゃんの体温計選びで迷ったら、脇ではさむタイプを1本目に選んでください。数字がいちばん安定して、小児科でもそのまま伝えられます。寝ている子を起こしたくない場面のために、おでこの非接触タイプを2本目として足すと、夜の見守りがぐっと楽になります。
数字がぶれる原因の多くは、脇のくぼみに届いていない、汗が残っている、測るタイミングが早い、この3つです。体温計を買い替える前に、元気な日の平熱を測って幅で覚えておくほうが、いざというときの判断に効きます。
そして何より、数字より子どもの様子です。ぐったりしている、水分が取れていない、いつもと違う泣き方をしている。そう感じたときは、体温計が何度を示していても、その日のうちに受診してください。
今日は元気な時間帯に1回だけ測ってみる。それだけで、次に熱が出た夜はずいぶん落ち着いて動けます。
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