この記事でわかること
- 薬を吐き出す子に、最初に変えたほうがよいこと
- 月齢・年齢で変わる飲ませ方のコツ
- 混ぜてよいもの、避けたいものの見分け方
- 吐き出してしまったときの考え方と受診の目安
- 毎回の格闘を減らすための準備
飲まないときは、量ではなく「形」を変える
粉薬をそのまま口に入れて飲めない子には、ごく少量の水で練ってペースト状にするか、服薬ゼリーで包んでから口に入れると飲めることが多いです。うまくいかないときは、同じ形のまま何度も口に運ばずに、形のほうを変えてみてください。
粉のまま口に入れると、唾液で溶けながら舌全体に広がります。苦味を感じる時間が長くなるので、子どもは反射的に薬を押し出してしまうんです。ペーストやゼリーは薬が舌の上でばらけないので、苦味に触れる面積が狭くなり、触れている時間も短くなります。
子どもが薬を嫌がる3つの理由
1つ目は、単純に苦いからです。子ども用に処方される薬でも、中身によってはかなり苦いものがあります。SNSでも「小児用と書いてあるのにこの苦さ、本当に子どもが飲めるのか」という声を見かけるほどです。大人でも顔をしかめる味を、子どもは生まれて初めて口にしています。
2つ目は、粉の食感です。口の中でざらつく、喉に張りつく、量が多くて一度に飲みきれない。味は平気でも食感で無理という子はめずらしくありません。
3つ目は、前に怖い思いをした記憶です。一度でも押さえつけられて流し込まれると、次からは薬の袋を見ただけで逃げるようになります。3歳ごろになると記憶がはっきりしてくるので、この影響が特に大きく出ます。
飲ませる前に確かめたいこと
- その薬は水に溶かして大丈夫か(薬局で確認)
- 食後でなくても飲める薬か
- 混ぜてよい食品を聞いてあるか
- 子どもが今、機嫌よく座っていられるか
月齢・年齢で変わる飲ませ方
同じ「薬を飲ませる」という作業でも、赤ちゃんと3歳児ではやり方がまったく違います。飲めない理由は、飲ませ方が年齢に合っていないだけかもしれません。
| 月齢・年齢 | 向いている飲ませ方 |
|---|---|
| 生後6か月ごろまで | ごく少量の水で練り、スポイトやシリンジで頬の内側へ少しずつ |
| 生後6か月〜1歳半ごろ | ペースト状にして上あごか頬の内側につける。服薬ゼリーで包む |
| 1歳半〜3歳ごろ | 服薬ゼリーで包む、アイスにのせる。どれで飲むか自分で選ばせて、納得してから飲んでもらう |
スポイトを使うときの3ステップ
赤ちゃんは口の中に入れられたものを舌で押し返す力が強いので、入れる場所と速さで結果が変わります。次の順番で試してみてください。
STEP1 薬を小皿でペーストにする
粉薬に水を数滴だけ落とし、耳たぶくらいのやわらかさに練ります。水を入れすぎると量が増えて飲みきれなくなります。
STEP2 抱っこして上半身を起こす
頭が少し高くなるように腕で支えます。寝かせたままや、あおむけで顔を上に向けた姿勢では、むせやすくなります。
STEP3 頬の内側へ少量ずつ流す
スポイトの先を頬の内側に沿わせて、1回あたり0.5mlほどを目安に入れます。飲み込んだのを見てから次を入れると、口の中にたまりません。
舌の真ん中やのどの奥に一気に流し込むと、苦味が広がるうえにむせて気管に入る危険があります。頬の内側へ少しずつなら、飲み込む動きに合わせて自然に入っていきます。眠っている子を起こさずに飲ませるのも、飲み込む反射がうまく働かないので避けてください。
スポイトは薬局でもらえることもありますが、繰り返し使うなら家に1本あると慌てずにすみます。目盛りが読みやすく、分解して洗えるものが扱いやすいです。ゴムの部分が外れるタイプだと、すみずみまで乾かせて衛生的に保てます。
混ぜてよいもの、避けたいもの
家にあるもので味をごまかせると心強いのですが、何に混ぜるかで結果が変わります。避けたほうがよいものには、それぞれ理由があります。
| 混ぜるもの | 向き不向き |
|---|---|
| 服薬ゼリー | 薬を包む前提で作られていて、包んでも苦味が出にくい |
| アイス(バニラ) | 冷たさで舌の感覚がにぶり、苦味を感じにくい |
| 練乳・ジャム | 甘さが強く少量で足りる。1歳未満ははちみつ入りを避ける |
| ヨーグルト・オレンジジュース | 薬によっては酸味で苦味が強く出る。事前に薬局へ確認 |
| ミルク | ミルク自体を嫌いになることがある。飲み残すと、飲めた量が分からない |
| ごはん・パンなど主食 | 同じく、その食べもの自体を受けつけなくなると困る |
ミルクと主食に混ぜないのは、薬のためではなく毎日の食事を守るためです。一度いやな味の記憶がつくと、体調が戻ったあとも飲まない・食べない状態が続くことがあります。薬は数日でも、ミルクとごはんは毎日のことです。
はちみつは1歳未満の子には使えません。乳児ボツリヌス症の原因になるためで、加熱しても変わりません。1歳を過ぎるまでは、練乳やジャムを選ぶときに原材料を見て、はちみつが入っていないものにしてください。
服薬ゼリーは、薬をゼリーの上にのせて、さらにゼリーで包んでから飲ませると味が出にくくなります。混ぜ込んでしまうと薬が広がって苦味が出るので、包む形が基本です。
チョコレート味やぶどう味など種類があるので、苦い抗生剤にはチョコレート味というように使い分ける方法もあります。対象月齢の表示があるので、月齢の低い子に使うときは購入前に確認してください。
わが家の上の娘は、甘い薬はヨーグルトに混ぜたらすんなり食べてくれました。でも苦い抗生剤は、お薬ゼリーやアイスであげようとしてもダメで、途方に暮れました。どうしても飲めないときは一人で抱えず、薬局や小児科に相談してみてください。
吐き出してしまったとき、どうするか
吐き出されたぶんを自己判断で足すのはやめて、かかりつけか薬局に電話で聞いてください。どれだけ口に入ったか分からない状態で追加すると、量が多くなりすぎることがあります。夜間でも、小児救急電話相談(#8000)に電話で聞けます。
見た目には全部出したようでも、口の中や頬の裏に残って飲み込めていることがよくあります。飲めた量を目で測るのは難しいので、判断は自分でしないほうが安心です。
早めに相談したい様子
- 水分がほとんど取れていない
- 1日を通してぐったりして目を合わせない
- 抗生剤を1日以上飲めていない
- 飲ませたあとに繰り返し吐く
そして、全部きれいに飲ませられなくても大丈夫です。何日も続けて飲めていないなら相談が必要ですが、1回うまくいかなかった夜があるくらいで、治りが台なしになるわけではありません。
次の受診で「この薬は飲めませんでした」と伝えると、飲みやすい形に変えてもらえることもあります。
よくある質問
錠剤はいくつから飲めますか?
一般的には5歳前後から練習を始める子が多いですが、同じ年齢でも差が大きい部分です。粉が苦手な子は、年齢と発達に合っていれば小さい錠剤に変えてもらうことで急に飲めるようになる場合もあるので、診察のときに相談してみてください。
泣いて暴れる子を押さえて飲ませてもよいですか?
どうしても体を支える場面はありますが、頭を押さえて上を向かせるやり方は、むせて気管に入る危険があるうえ、次から警戒されます。座らせて向かい合い、飲んだら終わりだと分かる形にするほうが、結果的に早く終わります。
保育園で薬を飲ませてもらえますか?
園によって対応が違い、医師の指示書が必要なところもあります。朝と夕方の2回で足りる薬に変えてもらえる場合もあるので、園に確認したうえで診察時に伝えてみてください。保育園に通いはじめた時期の体調管理は登園がはじまってからの風邪対策もあわせてどうぞ。
大人用の薬を少なくして飲ませてもよいですか?
大人用の薬を割ったり量を減らしたりして子どもに使うことはできません。子どもの体重に合わせた量と成分で処方されているので、必ず小児科か薬局で相談してください。
まとめ
薬を飲まない夜がつらいのは、飲ませ方を知らないからではなく、弱っているわが子と向き合いながら手を動かしているからです。まず変えるのは量でも気合いでもなく、口に入る形です。少量の水で練る、服薬ゼリーで包む、頬の内側へ少しずつ。この3つで通る子はかなり多いです。
混ぜるものはミルクと主食を避けて、はちみつは1歳を過ぎてから。吐き出したときは足さずに聞く。ここだけ覚えておけば、あとは家にあるもので十分やりくりできます。
今夜うまくいかなくても、明日の朝にもう一度チャンスがあります。家に服薬ゼリーが1つあるだけで、次に熱を出したときの夜を、少し落ち着いて迎えられます。
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